呼吸でリラックス
前回ストレスが虫歯や歯周病にまで影響するお話をしましたが、ストレスが全身に及ぼす問題は他にも山のようにあり、様々な病気の原因になっています。でもうまく対応出来る体のメカニズムを知っておくと、不思議なくらい解消させることが出来ます。
自律神経の乱れ
まず、ストレスなるものがふりかかると、体では、自分の意思ではどうにもならない、しかし無意識でも、体中のほとんどの細胞の働きを常時調節している自律神経が崩れ始めます。つまり、自律神経である交感神経と副交感神経のそれぞれが、緊張と緩和をうまくコントロールする様に働くバランスが崩れてどちらかに極端に傾くことで、それが体の変調となって表れてきます。交感神経の緊張は、血圧上昇、動悸、食欲低下等に始まり、不眠、肩こり頭痛、長く続けばアレルギーや癌の原因にもなります。
口から吐く動作をゆっくり
ストレスによって最初に緊張するのは交感神経の役割なので、どうやってこれを副交感神経支配にして均衡をとるかが最初の鍵となります。それは自律神経のうち、たった一つだけ意思でコントロール出来る呼吸という行為のリズムをうまく利用すること。つまり、交感神経支配の「吸う」という行為より、副交感神経支配の「吐く」という動作を出来る限り長くゆっくりやればいいわけです。
腹式呼吸、深呼吸、二段式呼吸、などヨガや太極拳、座禅に至るまで、様々な健康法にはつきものの呼吸法です。口からゆっくり体中の嫌なもの全部を吐き出すつもりで長くはき続けたあとは、鼻からすっと吸う。この時外部からの取り込みのろ過装置である鼻から、が基本ですが、これを5分から10分。この効果は脳内セロトニンを増加させるというおまけまでついて更に気分が良くなります。
効果的な笑うという行為
日常生活の中で、笑う時はハッハッハッと吐く息中心であり、泣く時、怒っている時、ヒックヒック、あるいはハァハァ吸う息中心であるということにお気づきでしょうか?笑いは喜びの感情とつながる副交感神経反射。副交換神経は血行を促進し筋肉の緊張を緩めて体の免疫力を上げます。医学的にも、笑うという行為のあとには、癌と戦うNK細胞の活性化が認められています。おかしくなければ作り笑いでもいい。泣いたり怒ったりの代わりに笑顔で深呼吸を。こんなリラックスと免疫力のアップという体のメカニズムを利用しない手はありません。
自然の治癒力にまかせて
考えてみれば、人はつらい時は、ハーッとため息をつき、いざという時にはフーッと深呼吸、なんてことを自然にやっているのです。喫煙の魔力も、煙草をひとたび咥えると実にゆっくり吐く息中心の呼吸を余儀なくさせられるせいなのかもしれません。
ストレスの元になっている悲しみや怒りをそう簡単に取り除くことは出来ないかもしれませんが、生体が行なう自律神経を整えるというすばらしい行為をすれば、体は耐えてくれます。ストレスに早く気づいて、自然の治癒力に任せ、これを邪魔しないこと。勿論、以前にも書きましたが、自律神経が滞りなく働くためには、正しい噛み合わせで背筋の伸びた良い姿勢が肝要でしたよね。