噛み合わせと咀嚼(咀嚼)
噛み合わせに関して様々な情報が氾濫している昨今、肩こりや腰痛、はては自津神経にまで影響があるらしいと聞くけど、本当なの?どうして?あるいは歯並びが悪いけど自分はだいじょうぶかな、など不安に思われている方も少なくないでしょう。
噛み合わせについて私なりに考えていることを説明してみましょう。
噛み合わせの大切な機能
まず、噛み合わせというのは口の中で上の歯と下の歯が合わさって、形作られています。そ の大切な機能は物を食べることですが、ただ単に噛む、つぶす、というだけではなく、食べ物は咀嚼(そしゃく)するという作用をして初めて飲み込める形になるのです。
ちょうど牛やキリンがもごもごと口を動かして食べるように、人も臼歯と呼ばれる奥歯で臼運動をするのです。
噛み合わせの悪さから生じる負担
さて、この複雑な咀嚼運動は、特別に意識をしなくても食べ物が口に入ると勝手に脳からの指令で行われますが、噛み合わせが悪いとこの運動がうまく出来ません。でも生きていくための栄養をとる大切な行為なので、必死になんとかすりつぶそうとあごの動きを制御し異常な運動を強いてでも行うのです。ですから食事をするたびに、顎を動かしているたくさんの筋肉は緊張し疲れ、蝶番(ちょうつがい)である顎関節にも無理な力が加わり続けるので、顎関節症などの病気の原因になったりします。
うまく咀嚼できなければ適当に飲み込んでしまうので、もちろん美味しく食べることはできませんね。顎運動に関わる筋肉は首や肩、頭部の筋肉に連結連動していますから順に緊張疲労を拡げていくことでしょう。
スリッパとハイヒールで歩くようなもの
例えば、噛み合わせの不調和を足に例えるなら、片方にスリッパ、反対側はハイヒールで歩いく状況を想像してみてください。
バランスをとるために足だけでなく腰背中が痛くなり、肩こりも起きてくるでしょう。
あるいは、邪魔物だらけの隙間を歩こうとすると、足を真っ直ぐに出せないで廻旋したり一旦後ろに引いてみたりとスムーズには歩けません。
体全体に影響を及ぼす
咀嚼運動がどのように行われているかはコンピューターを使って調べることができますが、虫歯や欠損、歯並びが悪かったりすると、左右のバランスが崩れて前述のような異常な運動になり易いので注意が必要です。
さて、もう1つ、噛み合わせが全身にとって及ぼす大きな理由。それは噛み合せが口を通して下あごの位置を決め、下あごは頭の位置を動かし、頭の位置は全身の姿勢を左右するという構造から、身体全体にとって大変重要な影響があるということです。