虫歯や歯周病で不安定に
通常年齢と共に虫歯や歯周病は増えていくのですが、例えば虫歯を放置するとどうなるでしょうか?崩壊した歯の部分は上下の支えを失くし隣の歯は傾斜します。こんなことから噛み合わせは狂い始めます。そして、神経を抜いたり被せたりを繰り返すと、高さや形が変わり、その数が増えるにつれ噛み合わせは更に変化し易くなっていきます。また歯周病で歯が動き始めると、歯を通して支えられている顎は安定しなくなっていくでしょう。歯を抜かざるを得ない状況になることもありますが、抜いた歯のスペースを放置しておくとこれも大変危険です。
欠損した歯の補てんは一刻も早く
歯は身体の一部です。抜けて無くなった部分は一刻も早く必ず補わなくてはなりませんが、これが部分入れ歯による補填になると、入れていない患者さんが大変多いのです。前にもお話ししましたが、顎は両足と同様左右のバランスが大変重要な構造をしています。5本指ある足の1本が抜けたら、立つことも歩くことも出来なくなることは容易に想像ができます。
歯は食べるためだけにあるのではありません。顎を支えるという大切な役割があり、これはちょうど机を支える4本の足が1本でも欠けたり、低かったりしたら、がたついて支えられないのと同じなのです。喪失した側に顎が傾き、その不安定さは直接脳に働きかけて問題を引き起こす原因となります。こう考えていきますと、虫歯や歯周病の予防が何より大切だと思えてきますね。
生活習慣や職業上の原因もまた、成長期に生活習慣や頬づえ、寝など不良態癖で顎がずれることはすでに述べましたが、これはもちろん成人にもあてはまります。特に、歯並びが悪い人は、元々顎がずれていることが多い上に、うまく咀嚼運動が出来ないので、それだけで顎関節や筋肉の疲労がありますから、更に症状が悪化し易くなります。
では歯並びのいい人は顎ずれがないのかといいますと、決してそうではありませんから注意が必要です。矯正治療をされた方でも治療後に後戻りといって、歯並びがまた元に戻ることもあり、そのわずかな歯の移動が時に顎をずらすので、充分な経過観察を受けられることをお勧めします。
その他に、直接口や顎を使用する楽器、クラリネット、尺八、バイオリン、チェロなどの奏者や、一定の姿勢を続けるような職業病ともいうべき身体の歪みから顎がずれることもあります。つまり、長く体を歪ませるような状態は顎もずれさせると考えられます。
正しい噛み合わせと姿勢を保つ
日常の生活習慣に注意し、正しく姿勢を保つ運動により、背骨や頚椎を支えるしっかりとした筋肉作りが何よりの予防です。抗重力筋が順に衰えていくと腰が曲がりハイハイの赤ちゃんに逆戻りです。正しいかみ合わせと正しい姿勢を保つこと、これこそが、健康への道しるべ、キーポイントです。