2014.02.22更新
花を咲かせよう
感慨深く還暦を迎えて、よし、新たなる出発だ、と意気込んでいたのに、もう62歳。
なんて早いのだろう。
結婚、別れ、子育て、走り続けた歯科医人生、と想い返せばそれなりの物語が多々あるけれど、人生の折り返し地点から夢見たのは、残り少ないけれど、だからこそ自分が信じた道をまっすぐ歩く事。
きっと最後まで未完成のままだろうが、信念だけは貫き通せたら後悔は無いはずだ。
さて、54歳で、学位修得に挑んだ時、周囲の博士さんたちは、その歳でなんの得にもならないから止めておけと忠告してくれた。だが、還暦の再出発までの最後の仕上げダッシュに、時間と経費を浪費したのは、自分への投資であり、出来ればご褒美にしたかったからだ。
年を重ね、目に見えないものにこそ大きな価値がある事を学んだからである。
女なら、美しくありたいと切実だった思いも、美しく生きたい、に変わった。美学なるものを口に出して言える自信と、生きることの本来の目的を考える余裕は、年輪のおかげだと思う。
生きざまの戦いには、若さゆえの苦渋の思いがつきまとった。
が、岡倉天心の言った「無用の用」の教えが、時にそれを助けてくれた。
花は食べることも出来なければ、なんら利益を産むものではないが、結婚式から葬式まで、人はあらゆる場面でそれを飾る。死んでからだって墓前に供えられる。 心に灯をともすからだ
これが、「無用の用」の意味である。
また言葉というものは、言霊(ことだま)が語源であり、魂の発露という意味である。だから、どんな時でも、優しく美しい言葉を吐けば、有難いことに、その言葉に乗っかった魂は浄化されるというものだ。
私たち医療人は、仕事をして充分な報酬が得られなくても、「ありがとうございました」の言葉が、心に灯を灯し花になることを、患者さんから教えてもらう。そういう仕事をしているだけで、とても幸せだということである。
仕事をする目的は、お金を稼ぐことそのものではなく、「豊かに生きる」こと。損得の勘定だけで生きたら、花は咲かない。すべての人に、癒しの花を与えられます様に・・・・・
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